2024年度活動方針

 

はじめに

1 【情勢】

 

   岸田政権は、政治と金の問題を契機に噴出する国民の怒りに追い詰められながらも、世界の戦争の危機を悪用して、アメリカいいなりに台湾有事を前提とした桁違いの大軍拡を進め、憲法改悪を狙い、日本を焦土と化す危険な戦争への道を暴走しています。

     岸田政権は、汚れた金で財界と結びつき、内部留保を増やし続ける大企業と富裕層をさらに優遇する一方で、高齢者と現役世代とを分断して、自己責任、受益者負担といったイデオロギーを蔓延させ、高齢者の生存権をも否定する思想状況をあおり、社会保障破壊の道を突き進んでいます。岸田政権と国民との矛盾はいっそう激化しています。

    「稼げる東京」をかかげて大企業が活動しやすい東京をめざす大改造を進める一方、福祉の充実を求める都民の声に耳を貸さない冷たい小池都政が東京の高齢者の暮らしを蝕んでいます。77日投票の東京都知事選挙に向けて市民と野党の共同で人に優しい都政への転換をめざす動きが始まっています。

 

2 【高齢者の実態】

 

    東京の高齢者は約311万人、そのうち約57%176万人が75歳以上です。75歳以上の高齢者の3割以上が介護認定を受けていますが、特別養護老人ホーム入所が必要と認定されながらも入所できず、家族による介護が家族の生活を圧迫するなど深刻な事態が起きています。後期高齢者医療制度は高い保険料に加えて一昨年10月一定の収入のある人の窓口負担が2割化され大きな負担になっています。高齢者の収入は減り続けています。私たちの調査でもすべての自治体で300万以上の収入のある人の割合は減り続け、東京の高齢者の3割は80万円以下の収入です。そのため、高齢者の就労が増え続け70歳を過ぎても3人に1人が働いています。高齢者の1人暮らしが増加し、地域の老人会や自治会の活動も困難になる中で、高齢者の孤立が深まっています。

   年金者組合がまとめた高齢の女性の声、年金裁判、新生存権裁判の陳述、75歳以上の医療費2割化問題での調査などには、多くの高齢者の深刻な暮らしの実態が明らかにされ悲痛な叫びがあふれています。

 

3 【日本高齢者人権宣言】

 

    私たちは第35回日本高齢者大会in京都で「日本高齢者人権宣言」を確認し、高齢者も人間らしく生きる権利を持っていることを宣言しました。第36回日本高齢者大会in東京は、日本高齢者人権宣言を学び運動に生かすことを重点の一つにかかげ、希望と輝きに満ちた真の長寿社会を創造するため、全国津々浦々で奮闘することを呼びかけました。

 

活動方針

1 運動の基本 日本高齢者人権宣言を運動の基礎にすえる      

 

  【高齢期運動の目標と内容】

        高齢期運動は、すべての人がかけがえのない存在として尊ばれ、安心してゆたかな高齢期を迎えられる社会の実現をめざす運動です。その基本は「日本高齢者人権宣言」が謳う人権の具現化です。ケアを保障する医療や介護の充実をめざす取り組み、孤立を防ぎ高齢者の独立を支える地域の連携をつくり出す努力、生活できる年金を求める運動、高齢者が安心して働ける仕事場の確保、生涯にわたる自己実現と社会への関与に大きな役割を果たす文化運動、高齢者の住まい、交通、情報アクセスなどの保障をめざす取り組み、高齢者要求に基づく自治体への働きかけ、高齢者の困りごとを受け止める相談活動や助け合い、社会保障改悪に反対する闘い、などは、その一環です。多くの団体、地域組織、個人がそれぞれの立場からこれらの運動を進めています。

 

  【高齢期運動連絡会の役割】

        各団体、地域のこれらの運動を交流し、高齢者の実態を明らかにし、高齢者をめぐる状況や、取り組みの意義、課題などについて学習し議論する場を提供し、必要に応じて高齢期に関わる共通した要求に基づく行動の調整を行うことが、日本、東京、地域各段階の高齢期運動連絡会の役割です。高齢者大会、ゆたかな高齢期をめざす東京のつどい、地域の高齢者のつどい、地域運動交流集会などの実施、署名や宣伝行動、自治体や政府への要請、署名提出集会の提起などはその具体化です。

 

  【社会保障の理念】

        “すべての人には健康で文化的な生活を営む権利があり、国と自治体にはそれを保障する義務がある。「社会保障」は、その義務の履行であり、健康保険、介護保険、雇用保険、年金制度などの社会保険制度も、各種福祉施策も、生活保護も、公衆衛生も国と自治体による義務の履行の一部である。”これが「日本国憲法」における「社会保障」の概念であり「日本高齢者人権宣言」の立場です。

 

  【地域を大切に】

        高齢者は地域(区市町村〜学校区程度)が基本的な生活の場であり、高齢者への施策は地域の自治体が担い、高齢者につながり高齢者を支えるのは地域の力です。地域は高齢期運動にとってとても大切な場です。私たちは地域を歩き、地域で起きていることに密着し、地域の人々や地域の団体や地域の運動のつながりを深めることを大切にします。

 

2 2024年度の運動

 

 @ 地域に高齢期運動を広げ根付かせる取り組み

  ・ 地域の各団体を結び高齢期の運動をまとめる仕組みづくり(地域高齢期運動連絡会など)を広げ、高齢期運動の根付いた地域(区市町村)を増やしていくことを今年度の重点にします。そのために

  高齢者大会東京実委の総括を生かし、高齢期運動の在り方についての議論をさらに深めます。

  すべての地域で、高齢者の実態を知り、実態と要求に基づく自治体要求運動に取り組むことをめざし、取り組みの交流を強化します。

  協同の力で高齢者の孤立をなくし、高齢になっても住み続けられるまちをつくる取り組みを大切にし、地域の多様な取り組みを学びあえる交流の機会を作ります。

  東京高連として各区市町村の状況をつかむ努力を一層強化します。

 

 A 日本高齢者人権宣言を学び生かす取り組み

    各団体、地域で「日本高齢者人権宣言」の学習を進めます。権利としての人権の思想を広げることを展望して、宣言を広く知らせていく努力を行います。

 

 B 自治体要求の取り組み

  区市町村の行政データを集約する取り組みを強化します。

  各地域の自治体要請の取り組みを集約し、交流、促進をはかります。

  対都要請、対広域連合要請に取り組みます。

 

  C 37回日本高齢者大会in愛知{20241122()分科会 23(土・祝) 名古屋国際会議場}と、第33回ゆたかな高齢期をめざす東京の集い{2025226()立川たましんRISURUホール全体会}の成功をめざします。

 

 D 高齢者の生活と権利・平和と民主主義を守る取り組み

    健康保険証廃止、介護保険制度を改悪など、社会保障の改悪をやめさせる運動、物価に見合う年金の引き上げ、高齢者を災害から守る体制の確立、米軍横田基地が主要な汚染源となっているPFAS汚染への対策など、命と暮らしと環境を守る切実な要求の実現をめざす諸行動、軍拡、憲法改悪を許さない運動などの課題に、国・都段階でも地域段階でも団体間の共同を強めながら取り組みます。高齢者と現役世代を分断する思想攻撃を打ち破る取り組みを重視します。

 

 E 77日投票の東京都知事選挙を要求実現の好機と位置づけて取り組みます。

      

 F 組織、財政確立の取り組み

  加盟促進、役員体制強化、運動への女性の参加の促進を重視します。

  財政の確立をめざして議論を行います。


   議案書PDF