活動方針


2025年度活動方針

はじめに

2024年10月に行われた総選挙で、国会の様相は一変しました。私たちの運動が新たな変化を作り出す可能性が生まれています。日本高齢者人権宣言を拠り所に、今までの運動の延長だけでなく、情勢を生かして知恵を絞り、力を尽くしましょう。

1 高齢者の実態

「東京都 令和6年 敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)」によれば、東京の高齢者は約311万8千人、そのうち約58%約181万5千人が75歳以上です。75歳以上の高齢者8.8%が要支援23.1%が要介護の認定を受けています。しかし、全都共同行動で2024年度に八王子市から提供された資料によると、八王子市では、住民税非課税世帯で介護度5の認定を受けた1,677人のうち、介護保険を在宅で利用している人が560人、施設を利用している人が790人、残る327人は介護保険を利用していません。八王子市の特別養護老人ホーム入所待機者は1,268人います。 負担増による利用控えに加えて、訪問介護の報酬削減や必要人員数に対する介護労働者数の決定的な不足、低賃金により介護の体制は極めて深刻な危機に陥っており。介護保険を使えず家族による介護が家族の生活を圧迫するなどの深刻な事態は一層加速することが予測されます。後期高齢者医療制度は高い保険料に加えて2022年10月一定の収入のある人の医療機関での窓口負担が2割化され大きな負担になり、厚生労働省の調べでも受診抑制が発生しています。高齢者の収入は減り続けています。私たちの調査でもすべての自治体で年収300万以上の収入のある人の割合は減り続け、東京の高齢者の3割は年収80万円以下の収入です。阿部彩・東京都立大教授が、厚生労働省の国民生活基礎調査(2021年分)の個票をもとに独自に集計し、2024年1月末に行った発表によれば、65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率は、44・1%に上っています。そのため、高齢者の就労が増え続け70歳を過ぎても3人に1人が働いています。非正規、不安定雇用、雇用によらない働きかたが多く、無権利の中で働き、労災や過労死の危険にさらされています。高齢者の1人暮らしが増加し、高齢者の孤立が進んでいます。

2 自己責任論・年齢間の分断  社会保障への国の責任があいまいにされ自己責任論がまん延しています。「高齢者の福祉を削って、若者にふり向けよう」という議論が意図的に行われています。全世代型社会保障と称して「限られた予算を高齢者のために使うか、若者のために使うか」という議論が行われ、あたかも高齢者は豊かであり、優遇され、貧しい若者がその負担を背負わされているという錯覚を生み出し、敵意と分断があおられています。

3 日本高齢者人権宣言

私たちは2022年第35回日本高齢者大会in京都で「日本高齢者人権宣言」を確認し、高齢者も人間らしく生きる権利を持っていることを宣言しました。私たちは「日本高齢者人権宣言」を基礎に据えて運動を進めます。

活動方針

1 運動の基本

・高齢期運動の目標と内容  高齢期運動は、すべての人がかけがえのない存在として尊ばれ、安心してゆたかな高齢期を迎えられる社会の実現をめざす運動です。その基本は「日本高齢者人権宣言」が謳う人権の具現化です。ケアを保障する医療や介護の充実をめざす取り組み、孤立を防ぎ高齢者の独立を支える地域の連携をつくり出す努力、生活できる年金を求める運動、高齢者が安心して働ける仕事場の確保、生涯にわたる自己実現と社会への関与に大きな役割を果たす文化運動、高齢者の住まい、交通、情報アクセスなどの保障をめざす取り組み、高齢者要求に基づく自治体への働きかけ、高齢者の困りごとを受け止める相談活動や助け合い、社会保障改悪に反対する闘い、などは、その一環です。多くの団体、地域組織、個人がそれぞれの立場からこれらの運動を進めています。

・高齢期運動連絡会の役割  各団体、地域のこれらの運動を交流し、高齢者の実態を明らかにし、高齢者をめぐる状況や、取り組みの意義、課題などについて学習し議論する場を提供し、必要に応じて高齢期に関わる共通した要求に基づく行動の調整を行うことが、日本、東京、地域各段階の高齢期運動連絡会の役割です。高齢者大会、ゆたかな高齢期をめざす東京のつどい、地域の高齢者のつどい、地域運動交流集会などの実施、署名や宣伝行動、自治体や政府への要請、署名提出集会の提起などはその具体化です。  高齢者の人権を保障する国際的な動きと連帯することも高齢期運動連絡会の大切な役割になっています。

・地域を大切に  高齢者は地域(区市町村〜学校区程度)が基本的な生活の場であり、高齢者への施策は地域の自治体が担い、高齢者につながり高齢者を支えるのは地域の力です。地域は高齢期運動にとってとても大切な場です。私たちは地域を歩き、地域で起きていることに密着し、地域の人々や地域の団体や地域の運動のつながりを深めることを大切にします。

・社会保障の理念 “すべての人には健康で文化的な生活を営む権利があり、国と自治体にはそれを保障する義務がある。「社会保障」は、その義務の履行であり、健康保険、介護保険、雇用保険、年金制度などの社会保険制度も、各種福祉施策も、生活保護も、公衆衛生も国と自治体による義務の履行の一部である。”これが「日本国憲法」における「社会保障」の理念であり「日本高齢者人権宣言」の立場です。

2 2025年度の運動

@ 地域の様々な取り組みの交流を大切にしながら、地域に高齢期運動の中心となる組織を確立し、高齢期運動を広げ根付かせる取り組みを進めます。

A 日本高齢者人権宣言を学び、宣言を尺度に地域の高齢者の実態を明らかにし、運動に生かします。

B 区市町村の行政データを取得し、その内容を地域で検討し、地域の高齢者の切実で具体的な要求をもって自治体要請を行います。

C 高齢者の孤立をふせぎ、だれもが安心して住み続けられるまちをつくる取り組みを進めます。

D 首都圏4都県が総力を挙げる第38回日本高齢者大会inさいたま(2025年11月11日・12日)を成功させます。第34回ゆたかな高齢期をめざす東京の集い(2027年2月・計画未定)に向けて準備を始めます。

E 高齢者の暮らしと権利を守る取り組みを共同して進めます。  マイナンバーカード強要、健康保険証廃止、介護保険制度改悪など、社会保障の改悪をやめさせる運動、物価を上回る年金の引き上げ、消費税廃止を求める運動、医療費窓口負担ゼロをめざす運動、高齢者を災害から守る体制の確立、などの諸課題に、都段階でも地域段階でも幅広い共同を強めながら取り組みます。

F 平和と民主主義を守り、諸要求の実現をめざす取り組みに共同します。 ・極めて重要になっている大軍拡と戦争への道に反対する運動、改憲の動きをゆるさない運動を重視します。 ・米軍横田基地が主要な汚染源となっているPFAS汚染への対策、原発廃止を求める運動、地球環境問題への取り組み、地域のさまざまな要求運動などに共同して取り組みます。

G 年齢間に共通する要求に基づく運動、地域の子どもたちに関わる運動など様々な年齢層がともに取り組む活動を通して、高齢者と青年や現役世代を分断する思想攻撃を打ち破る取り組みを進めます。

H 厚労省前年末座り込み、2・1高齢者中央集会など長く取り組まれてきた運動を大切に、各団体と協力して取り組みます。

I 6月の都議会議員選挙、7月の参議院選挙を要求実現の好機と位置づけて取り組みます。

J 東京高齢期運動連絡会から郵送・メールで団体、地域に送るニュースを定期的に発行します。

K 地域組織の確立、団体の加盟に取り組みます。各組織の困難な状況を出し合い前進の道をさぐる議論を大切にします。運動資金カンパの取り組みを継続し、財政を確立する取り組みをすすめます。